広大地の評価は、相続税でも、かつては、開発想定図を作成し、潰れ地の面積分だけを減価するとして算定していた。造成費相当額等による減価は考慮していないという批判があった。また、開発想定図は不動産鑑定士等の専門家に頼らないで作成することは困難だという苦情も多かった。 そこで、平成16年に評価通達の改正がなされ、下記のような算式によって、評価対象地の面積に応じて簡単に算出される減価率表が制定され、平成17年の相続から適用されている。この表によれば、たとえば三大都市圏の市街化区域内の500u以上の宅地では、33%から57.5%までと、大幅な減価となり、納税者からは朗報として歓迎された。
《広大地補正率の算式》(要約) 広大地補正率=0.6−0.05×(広大地の地積÷1,000u) *これにより評価する広大地は5,000u以下の土地とする。 したがって、広大地補正率は0.35が下限となる。
その後、課税当局は、大盤振る舞いをし過ぎたと思ったのか、企画官情報を次々と出してきて、地積が広大でも、「こういう場合は広大地に該当しない」「ああいう場合も……」と、制限をつけてきた。 広大地に該当するかどうかは、天国と地獄の境目となって、その判定基準はどのような使用方法が最有効使用であるかということであり、その判定は不動産鑑定士の仕事である。しかし、その土地の最有効使用が開発造成後の戸建住宅の敷地であり、税務通達や企画官情報で規定している広大地に該当していることを課税当局に納得させるためには具体的な説明が必要である。 本書は、当会会員の実際の税務申告の例も含めて、いろいろなケースを図示して具体的に解説しており、実務に大いに役立つ。
【まえがき】 【目次】
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「事例詳解」広大地の評価 日税不動産鑑定士会 編 3,000円(税別) |